皆様お久しぶりです。そしてはじめましての皆様こんにちは。私、ジョージ先生(@GeorgeSAteacher)と申します。
※私はX(旧Twitter)・Instagram・note・Kindle本で情報発信をしている高校教師です。
今回のテーマは『亜寒帯と寒帯の特徴』です。
早速本題に入っていこうかと思います。
亜寒帯(D)とは
亜寒帯についてざっくりと解説していこうと思います。
まず亜寒帯は樹林が育つ気候の中で最も寒冷な地域となります。
なぜこの地域が寒くなるのかについては以下の分布図を見ると明らかです。
見ての通り、高緯度のエリアが亜寒帯に属していますね。
※色分けはこの後説明する気候区分ごとで分けています。
緯度が高いと太陽のエネルギーが届かず、寒くなってしまうんですね。
ではここで意外な事実を紹介しましょう。
それが亜寒帯の夏は意外と暖かいということです。
7月ごろは亜寒帯のエリアでもおよそ20度近くになりますからね。
この夏の暖かさのおかげで冬の厳しい冷え込みがあっても植物が生育できるというわけです。
緯度が高いエリアなのになぜ夏が比較的暖かいのか、わかりますか?
これは大陸性気候が関係してきます。
大陸性気候についてはこちらの記事をご覧ください。
大陸性気候の特徴は「暖まりやすく、冷えやすい」でしたね。
つまり高緯度であっても大陸内部の夏は陸の比熱の関係上、暖まるという話でした。
だからこの亜寒帯の夏も例外なく比較的暖かい気候となるのです。
それでは今から夏はそこそこ暖かく、冬は激寒な年較差の激しい亜寒帯の植生と土壌について確認していきましょう。
まずは植生についてです。
亜寒帯の樹林は温帯の細くて幅の広い葉と比べて、太くて細長い葉を持つのが特徴です。
この太くて細長い葉を持つ樹林を針葉樹と言います。
亜寒帯の樹林は冬の厳しい寒さに耐えるために葉を太くする必要があったんですね。
人間が真冬に着込むのと同じ原理です。
そのため、温帯のような薄くて幅の広い葉っぱ(広葉樹)ではなく、太くて細長い葉となるのです。
この気候的特徴から成長する針葉樹林帯をタイガというので覚えておきましょう。
次に土壌についてみていきましょう。
ここで覚えて欲しい語句は「ポドゾル」と「永久凍土」です。
まずは「ポドゾル」から解説していきましょう。
ポドゾルの特徴は白い土壌です。
この亜寒帯エリアの土壌って白っぽいんですよね。
なぜだかわかりますか?
順を追って説明します。
①針葉樹の葉っぱは地面に落ちても分解されない
②その理由は葉っぱの形状(太くて長い)と寒冷な気候のため
③葉っぱが分解されないまま、大量の雨が降る
④針葉樹の葉っぱにある酸が分解されることなく、雨に流される
⑤土壌中の鉄分を雨に流された酸が溶かし(漂白作用)、白っぽい土壌となる
なんか小難しい話ですね。
高校地理レベルでは亜寒帯の土壌はポドゾルといって白っぽい農業に不向きな土壌(酸性が強いため)だと理解していればOKです。
では次に永久凍土について簡単に説明していきます。
永久凍土は1年中地面が凍結している土壌のことを言います。
地面が凍結するとはどういうことか。
実は凍っているのは土ではなく、土に含まれている水分なんです。
地下深くの土に含まれた水分は太陽の光を浴びることもないので、ずっと凍っているというわけですね。
ここで1つ勘違いしないでもらいたいのが、永久凍土であっても地表付近の土壌は溶けるという事実です。
永久凍土というくらいなので、地表付近も1年中凍っているイメージをするかもしれませんが、全然そんなことはありません。
夏には地表付近の凍っている土壌が溶け、湿地(べちゃべちゃな土壌)を形成します。
そのため、亜寒帯のエリアでは高床式の建物がたくさん並んでいます。
それでは次は亜寒帯の区分についてそれぞれ説明をしていこうと思います。
亜寒帯湿潤気候(Df)について
亜寒帯湿潤気候はアルファベットでDfと表記される気候区分となります。
小文字の「f」は何を示すか,覚えていますか?
小文字の「f」は「full time(ずっと雨が降る)」を意味するんでしたよね。
そのため,Df(亜寒帯湿潤気候)は気温は少し低めですが,年中降水がある地域ということができます。
それではこの亜寒帯湿潤気候の分布を確認していきましょう!
亜寒帯湿潤気候の特徴は大きく2点。
①年較差が大きい
②年間を通して降水が多い
それぞれ理由を説明していきます。
まず①の年較差が大きいに関しては先ほど説明したように、大陸性気候の影響(温まりやすく、冷めやすい)を受けるからでした。
②の年間を通して降水が多い理由は亜寒帯低圧帯に位置する場所だからだと説明することができます。
詳しくは以前投稿したこちらの記事をご覧ください。
では説明していきます。こちらの図をご覧ください。
気候は大まかに雨が降りやすい低圧帯と雨が降りにくい高圧帯が交互にやってくるのが特徴でした。
ロシアやカナダが分布する緯度50度〜70度はちょうど亜寒帯低圧帯の影響を受けやすいエリアとなります。
低圧帯=雨が降りやすい=湿潤な気候と繋がってくるわけです。
この2点の特徴を覚えておきましょう。
亜寒帯冬季少雨気候(Dw)について
次に説明するのは亜寒帯冬季小雨気候です。アルファベットでいうとDwですね。
それでは復習です。
小文字の「w」は何を意味したか,覚えていますか?
小文字「w」は「冬に乾燥する」気候を表すんでしたよね。
ではなぜこの地域が冬に乾燥するのか,そのメカニズムを説明していきこうと思います。
まずは分布図をご覧ください。
こちらの図を見ると亜寒帯冬季少雨気候の分布がかなり限られていることがわかるかと思います。
そのため亜寒帯冬季少雨気候はロシアの北東部(いわゆる極東シベリアと言われるエリア)のみと覚えておけば楽勝ですね。
では先ほどの亜寒帯湿潤気候(Df)と同じ点,異なる点をまとめていこうと思います。
DwもDfも同じ点は気温の年格差が大きいという点です。
どちらも大陸性気候の特徴を受けますので,夏は暑く,冬は寒い気候であることに違いありません。
では何が違うのか,それが降水の特徴です。
先ほどの亜寒帯湿潤気候(Df)は亜寒帯低気圧の影響で年中降水が多い地域であると説明をしました。
しかし,亜寒帯冬季少雨気候(Dw)は漢字の通り冬の降水量が少ない地域となります。
この違いはなんなんでしょうか。
説明していきます。
こちらの図をご覧ください。
この図のAとBの地域はどちらが冷え込むと思いますか。
正解はBです。
なぜなら大陸性気候の特徴が最も強いのが大陸東岸のBだからです。
Aの場所は偏西風が海の要素を運んできやすいのに対して、Bは偏西風が海の要素を運ぶには遠すぎますよね。
西から風が吹くというこの緯度帯の特徴と相まって、大陸東岸のBは最も海の影響を受けづらい=陸の特徴が最も強くなるわけです。
しつこいようですが、おさらいです。
大陸性気候の特徴はなんでしたっけ?
そう!「夏は暑く、冬は寒い」でしたね!
この特徴が最も顕著に出るということです。
もちろん緯度が高い(=太陽の光が浴びづらい)ので夏に暑くなるといってもそこまで大きく気温が上がることはありませんよ。
ここでポイントとなるのが冬の寒さです。
ただでさえ高緯度に位置し、太陽光の影響が受けづらいために気温が低いこのエリアですが、さらに顕著な冬が寒いという特性が加わることによって、極東シベリアと呼ばれるロシア東岸はかなりの冷え込みが発生します。
※先ほどDfとの共通点で年較差が大きいと言いましたが、Dfと比べると、Dwの方が年較差は大きくなる傾向にあります。
冬に急激に冷え込むとどうなるか。
低気圧(雨が降りやすい)は気温が上昇することで発生するというメカニズムでしたよね。
ここまで極端に冷え込む場合、亜寒帯低圧帯(雨が降りやすい)を形成する緯度帯であったとしても上昇気流が発生しづらい環境となり、結果として極端に冷え込む冬季に関しては降水量が少ない気候区分となってしまうのです。
これがロシア最東端で冬季少雨気候になる理由です。
少し難しいかもしれませんが、しっかりとメカニズムを理解しておくと、今後もスムーズに勉強が進められると思います!
それでは気候編の最後となりました。
寒帯について簡単に触れておきましょう。
寒帯(E)とは
寒帯について簡潔にまとめていきたいと思います。
まずは分布図をご覧ください!
まず寒帯はET(ツンドラ気候)とEF(氷雪気候)の2種類に分類されます。
上の地図でいくと青色がET(ツンドラ気候)で紫色がEF(氷雪気候)となります。
まずは両者の共通点を上げていきましょう。
両者の共通点は極高圧帯に属し、寒さが一年中厳しいという点です。
そりゃこんな場所寒いでしょうなってのはなんとなくわかるかと思います。
当然、一年中厳しい寒さが続くことになるので、植生(植物が生える環境)はありません。
そのため、このエリアでは漁労やアザラシ狩猟などが行われています。
ではこの両者の違いは何か。
一応定義上は最暖月が0度を超えるかどうかで分類がされます。
ただ寒帯の分類が出題されることはないので、そこまで大きく気にしなくてもいいと思います。
植生がないくらい寒いけど、ちょっとマシなのがET(ツンドラ気候)で究極に寒いのがEF(氷雪気候)くらいに覚えてもいいと思います。
ちなみにETのTはツンドラのTで、EFのFはフロスト(氷雪を意味する)のFです。
EF(氷雪気候)はグリーンランドと南極しか分布しないので覚えやすいですね。
1つだけ補足をするのであれば、インド東北部と南アメリカ大陸の西岸にも寒帯が分布されていますね。
この2つに関しては緯度がそこまで高くないのにもかかわらず、ツンドラ気候となっています。
この理由は簡単です。
インド北東部にはヒマラヤ山脈が、南アメリカ大陸西岸にはアンデス山脈という非常に標高が高いエリア(新期造山帯)が続きます。
標高が著しく高いため、その分冷え込みが厳しくなって寒帯に分類されるというわけです。
ちなみにこのような標高により、通常とは異なる気候区分が設定される場合はケッペンの気候区分と切り分けて、H(高山気候)と表されることもあります。
ケッペンはあくまで、気温と降水量という2つの軸で気候を分類していましたからね。
そこに標高の要素も入れてしまうと話が複雑になってしまうため、H(高山気候)を設定して、切り分けて考えるようになっていきました。
まとめ
今回で長かったケッペンの気候区分も最終回となります。
しっかりとケッペンの気候区分を理解することができたでしょうか?
地理の基礎基本として、このケッペンの気候区分はメカニズムも含めて完璧に覚えるようにしましょう!
今日も最後まで記事を読んでくださりありがとうございます!
それではまた!
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自己紹介 好奇心旺盛な社会科教師