皆様お久しぶりです。そしてはじめましての皆様こんにちは。私、ジョージ先生(@GeorgeSAteacher)と申します。
※私はX(旧Twitter)・Instagram・note・Kindle本で情報発信をしている高校教師です。
今回のテーマは『海流』です。
早速本題に入っていこうかと思います。
海流のメカニズム
まずは海流のメカニズムについてまとめていこうと思います。
まずはこちらの図をご覧ください。
この図に示されているように海は様々な方向に向かって流れていきます。
この海の流れは何の要素によって影響されていると思いますか?
答えは風です!
風ってどういうメカニズムで吹くんだっけと忘れてしまった人は一度、以下の記事に戻って確認してからこの先の内容に戻ってきてください!
※風の仕組みを理解していないとこの先の話は全くもってわからないと思います!
↓ 風の仕組みを理解できた人は以下の海流編の続きに進んでください!
海流編で注目したい主な風は貿易風と季節風の2つです。
まず地球上で風の吹く方向をおさらいしましょう。
風はこのような向きで吹くんでしたよね。
海の流れはこの風の向きをそのまま地図上にあてはめていくだけで理解できるのです!
それではエリア別に確認していきましょう!
まずはユーラシア大陸東岸〜北アメリカ大陸西岸の海流から確認していきます!
赤道付近では貿易風の影響で東から西に向かって海も流れていきます。
ユーラシア大陸東岸に沿ってそのまま北上していき、高緯度側では偏西風の影響で低緯度とは反対方向の西に向かって海が流れていくという仕組みです!
上の図にも書いてある通り、北上した北太平洋海流が西側のアメリカ大陸にぶつかった時、海の流れが2つ(親潮とカリフォルニア海流)に分かれてしまう点がポイントです。
これはこの後に説明するヨーロッパ西岸でも同じ動きが起きますので覚えておいてください!
では次は北アメリカ大陸東岸〜ユーラシア大陸西岸での海流を確認していきましょう!
先ほどと同様に貿易風の影響で低緯度では東から西に向かって海が流れていきます。(北赤道海流)
その後、北アメリカ大陸に沿って北上し、高緯度では偏西風の影響で西に向かって海が流れていくという仕組みです。
北大西洋海流がユーラシア大陸西岸にぶつかると2つ(ラブラドル海流とカナリア海流)に海流が分かれるのも先ほどのユーラシア大陸東岸と同様のポイントなので押さえておきましょう!
以上が北半球の海の動きになります。
北半球の海の特徴をまとめていきましょう!
次に南半球の海流の特徴をみていきましょう!
以下の図をご覧ください!
南半球は北半球と比べるとよりシンプルな構造です。
低緯度(赤道付近)では貿易風の影響で東から西へ海が流れていきます。
北半球の時と一緒ですね。
そして高緯度になると、偏西風が吹くエリアに入りますので、西から東に向かって海も流れるようになります。
これも北半球と一緒ですね。
北半球との違いは高緯度側で流れる海流が大きな大陸にぶつからないという点です。
南半球では偏西風が吹くエリアに大陸がありません。
そのため、北半球のような8の字で流れることはなく、シンプルな円形で海が流れていくのです。
このメカニズムもしっかりと覚えておきましょう!
以上で海流の仕組みについての説明は終了となります。
海は風に乗って流れていくという仕組みを理解できたでしょうか。
このように風の影響を受けて流れる海流を表層流(吹送流)と言いますのでこの語句も合わせて覚えておきましょう!
海流の種類
海流のメカニズムがわかったところで次は海流の種類について簡単にまとめていきましょう!
海流には主に暖流と寒流の2種類があります。
今まで解説してきた画像でも赤色の海流は暖流で、青色の海流は寒流を示しています。
この両者は何によって区別されているかわかりますか。
以下に暖流と寒流の違いをまとめましたのでご覧ください。
結構シンプルな違いですよね。
赤道付近で温められた海は低緯度から高緯度へ移動していきます。
太陽の光を受けづらい高緯度ではこの赤道から流れてくる暖かい海流のおかげで気温の低下を防ぐことができます。(暖流の役割)
また高緯度側で冷やされた海流が低緯度側に流れていくと、赤道付近の気温の上昇を防ぐことにもなるのです。(寒流の役割)
この循環により地球の気温がある程度は一定に保たれているというわけです。
それでは次に地理で特に覚えてほしい3つの海流を紹介していきましょう!
主要な海流の説明
地理で特に押さえて欲しい海流は北大西洋海流とベンゲラ海流とペルー(フンボルト)海流の3つです。
なぜこの3つが大事なのかを説明していきます。
まず北大西洋海流についてです。
北大西洋海流は西ヨーロッパの気候に大きく影響を与えています!
西ヨーロッパの国って高緯度にあるのにそこまで寒いイメージがありませんよね?
これは暖かい北大西洋海流の上を偏西風が通過することで暖かい湿った空気を西ヨーロッパへ届けているからなんですね!
もう少し詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
西ヨーロッパの気候を語る上では外せない北大西洋海流をしっかり覚えておきましょう!
次はベンゲラ海流とペルー海流の2つについて紹介します。
なぜこの2つがセットなのかというと、2つともある現象を引き起こす寒流だからです。
この寒流が原因で引き起こされる現象とは何か。
それは海岸砂漠です。
海岸砂漠はその名の通り、海岸付近に砂漠が広がる現象です。
普通は海岸付近は水資源が潤沢にあるので、砂漠になるのはおかしいじゃないですか。
水があるけどないって言っているようなものですよね。
でもこのベンゲラ海流の海岸にあるナミブ砂漠とペルー海流の海岸にあるアタカマ砂漠はどちらも海岸沿いから砂漠が広がる特殊な海岸砂漠という地形を形成しているのです。
理由は簡単でベンゲラ海流とペルー海流が寒流で、周りの大気を冷やすことで、上昇気流が発生しづらい=雨が降りづらい状況になるからです。
この2つの海岸砂漠と2つの寒流はセットで覚えるようにしましょう!
海流が引き起こす2つの現象について
最後に海流が引き起こすエルニーニョ現象とラニーニャ現象についてまとめていきたいと思います。
まずはエルニーニョ現象からみていきましょう!
それではこちらの図をご覧ください。
これは通常時の海水温の分布を示しています。
基本的に太平洋の東側は高緯度から流れてくる寒流の影響もあり、海水温が低くなります。
この冷たい海が貿易風によって西側へ移動します。
西側に移動する際、太陽光を浴びることでどんどん水温も上がっていき、太平洋西側に近づくにつれて暖流へと変化していくのです。
これが通常時の話になります。
この通常時と比べて、東から西に吹きつける貿易風の勢いが弱まった時に起きる現象がエルニーニョ現象です。
以下の図をご覧ください。
先ほどの図と比べると海水温が低いエリアが狭まり、海水温が温かいエリアが広がっていますね。
これは東から西へ吹く貿易風の勢いが弱まることによって、太平洋東側の寒流が西へ流れづらくなります。
その結果、寒流が影響を及ぼす東側のエリアが狭くなり、対照的に海流が温まるエリアが太平洋中心部にまで広がってくるというわけです。
この現象により様々な異常気象が世界で発生してきます。
例えば日本の場合ではエルニーニョ現象により例年よりも冷夏・暖冬の傾向が強くなります。
夏は日本の東側から西側に向かって風が流れます。
先ほどエルニーニョ現象は貿易風が弱まることによって海水温が高いエリアが増えると説明をしました。
ここで少しややこしい話をします。
確かに貿易風が弱まることによって海水温の高いエリアは増えますが、日本にやってくる暖流の影響は弱まるのです。
これは単純に貿易風が弱くなるということは日本に向かってくる暖流の勢いも弱くなるからです。
エルニーニョ現象は暖かい「エリアは広がる」けども、「暖流が大陸に届きづらくなる」現象でもあるんです。
そのため、日本にも暖流が届きづらくなり、結果的に海側の気温が下がる→日本の夏は海から風が吹くため、気温も海水温の低下に伴って低くなるというわけです。
これがエルニーニョ現象時に日本が冷夏になる理由です。
次に冬に暖冬になる理由ですが、今度は風向きが太平洋からユーラシア大陸に向かってではなくユーラシア大陸から太平洋側に向かって吹くようになります。
季節風というやつですね!
季節風の仕組みを忘れてしまったという人はこちらの記事を確認してください!
上の図にも示している通り、季節風は寒暖差が激しければ激しいほど、風の勢いを増します。
先ほど話しましたが、エルニーニョ現象時は太平洋側からの暖かい海流は日本に届きづらくなります。
つまり、太平洋側の温度は通常よりも低くなるわけです。
その結果、通常よりも陸と海の寒暖差が小さくなるため、季節風の勢いも弱まる=大陸から冷たい空気を運ぶ力が弱くなる=通常時よりも冬が暖かくなるというわけです。
これがエルニーニョ現象時に日本が暖冬なる理由になります。
少し難しい話になりましたが、理解できたでしょうか。
ちなみに貿易風が弱まるエルニーニョ現象とは真逆で貿易風が強まる時の現象をラニーニャ現象と言います。
覚えておきましょう!
まとめ
今日の海流編の解説はいかがだったでしょうか。
正直、海流編は風の仕組みをきちんと理解できているかが鍵となってくる気がしています。
大気大循環のテーマをしっかりと復習しつつ、今回の記事と重ね合わせて学習を進めてもらえたら幸いです。
今日も最後まで記事を読んでくださりありがとうございます!
それではまた!
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自己紹介 好奇心旺盛な社会科教師