皆様お久しぶりです。そしてはじめましての皆様こんにちは。私、ジョージ先生(@GeorgeSAteacher)と申します。
※私はX(旧Twitter)・Instagram・note・Kindle本で情報発信をしている高校教師です。
今回のテーマは『温帯』です。
早速本題に入っていこうかと思います。
温帯がどれほど恵まれているかを理解しよう!
温帯とは
まずは温帯の定義からまとめていこうと思います。
教科書には、『樹林のある気候の中で最寒月平均気温が18℃未満〜−3℃以上』と定義されています。
これを噛み砕いて表現すると、一定の降水量もあり、極端に寒くなることもない、最も過ごしやすい気候区分であると言えます。
温帯の地域を確認してみましょう。
場所によって色が異なるのは後に説明する気候区分で分けたためです。
こうして見ると、温帯は基本的に横並び(緯度が同じ)になっているのが分かるかと思います。
なぜ横並びになっているのか分かりますか?
それは基本的に温帯が亜寒帯低圧帯に位置しているためです。
亜寒帯低圧帯って何?と思う人や気圧の概念について自信がない方はこちらの記事をお読みください。(読み終わったらここの記事に戻ってきてくださいね。)
一応、確認してみましょう。
横並びになっているのは亜寒帯低圧帯上に位置しているからという原則を知っておいてください。
それでは少し亜寒帯低圧帯の復習をしましょう。
亜寒帯低圧帯はどんな地域でしたか。
1番のポイントは降水量が多いことでしたね。
この地域は上昇気流が発生する地域であるため、雲が発生します。
雲が発生するということは降水をもたらすということ。
そのため、この地域は雨が降る地域なんです。
雨が降るということは様々な農作物も育てることができます。
また比較的緯度も高すぎず、低すぎずの丁度いい場所に位置しているので、寒すぎることも暑すぎることもありません。
だからこの地域は非常に過ごしやすい気候であると言えるのです。
そのため、この地域にある国は先進国が多く分布します。
様々な面において優秀な気候だからこそ、発展することができたんですね。
そんな優秀な気候である温帯は細かく4種類に分類することができます。
それぞれどんな特徴をもっているか、確認していきましょう!
地中海性気候(Cs)
まずは地中海性気候です。
地中海といっているだけあって、地中海付近を中心とした気候区分となります。
以下の図をご覧ください。
この分布をみると、意外と地中海じゃない場所でも地中海性気候が存在していることがわかるかと思います。
そんな地中海性気候の分布のポイントは2点。
それが同じ緯度帯であるという点と大陸の西側に分布するという点です。
まずは分布のポイントについてそれぞれみていきましょう。
同じ緯度帯である理由
まずは地中海性気候の特徴について説明をしていきたいと思います。
地中海性気候の特徴は
『夏に乾燥する(雨が降らない)』です。
地中海性気候をアルファベットで表記する際はCsと書きますが、この小文字の『s』は『summer(夏)』を表しています。『夏に乾燥する』ということを暗示しているんです。
※ちなみに小文字の『w』は『winter(冬)』を表していて『冬に乾燥する』ことを暗示していましたね。
この夏に乾燥するって実は珍しいことなんです。
他の気候区分でも小文字の『s』がつく気候区分はありませんからね。
ではなぜ夏に乾燥するのか、それを解くヒントが同じ緯度帯であるという部分に繋がります。
それではこちらの図をご覧ください。
地球は太陽の周りをぐるぐると回っています。
これを公転と言います。
そして地球自体もくるくると回っています。
これを自転と言います。
この自転をする際、地球は傾きながら回転をしています。
これは地球の軸(地軸)が傾いていることが要因です。
※地球儀をみたら、地軸が傾いているのが分かるかと思います。
これがポイントなんです!
地軸が傾くことによってある変化がおきます。
それではこちらの図をご覧ください。
北半球が夏の場合、上の図のような形で、太陽の光が当たります。
地軸が傾いているので、真ん中よりも北側(上)に太陽の光が多く当たっているのが分かるかと思います。
それでは次は北半球が冬の場合をみてみましょう。
上の図のような形で太陽の光が当たります。
今度は先ほどの場合と異なり、真ん中よりも南側(下)に太陽の光が多く当たっているのが分かるかと思います。
地軸が傾いているのが要因ですね。
それではこの地軸の違いがどう影響を及ぼすか、夏と冬で比較したものをご覧ください。
地軸の傾きにより、太陽光が当たる場所がずれることで、時期によって気圧の発生場所に変化が見られますね。
前置きが長くなりました。
地中海性気候の話に戻りましょう。
地中海性気候は夏に乾燥する珍しい気候区分でした。
なぜ地中海性気候は夏に乾燥するのか、以下の図をご覧ください。
先ほどの比較図にオレンジで色がついている場所がありますね。
そこが地中海付近(北緯30〜40度付近)となります。
これを見ると一目瞭然なのではないでしょうか。
冬と比べて夏の地中海付近では亜熱帯高圧帯が近づいています。
高圧帯は上昇気流の発生しない、下降気流の領域でした。
上昇気流が発生しないということは雲が発生しないということ。
つまり雨が降らない(乾燥する)地域となるのです。
これが地中海付近の夏が乾燥する大きな理由となります。
※南半球も同じ理屈で南緯30〜40度付近が亜熱帯高圧帯の影響により、夏に乾燥します。
それでは2つ目のポイントを解説していきましょう。
地中海性気候は大陸の西側に分布する
先ほど載せた地中海性気候の分布を見てもらえたら分かると思いますが、必ずといっていいほど大陸の西側に地中海性気候は分布しています。
地中海性気候は夏に乾燥する気候でした。
別の見方をすると、大陸の東側は夏に乾燥せず、雨が降ると言い換えることができますよね。
なぜ大陸の東側は夏の雨が降るのか、説明できますか?
それは季節風の影響を受けるからです。
季節風って何かわからない、もしくは忘れてしまったという方はこちらの記事にまとめてありますので、この記事を読んでから戻ってきてください!
おさらいです。
季節風の影響により、夏は海から陸に向かって風が吹くんでした。
海から風が吹くということは海水の上を通ってきた風が大陸東部に吹くということです。
海水の上を通ってきた風は海上の水蒸気を大量にもたらしてくれます。
そのため、大陸東側では乾燥しないというわけです。
西側では季節風は発生しづらいのもポイントでしたね。
これが地中海性気候の特徴となります。
地中海性気候の農業
地中海性気候の特徴は『夏に乾燥する』でしたね。
なので必然的に農作物も乾燥に強いものが選ばれるようになります。
代表的なものはブドウでしょう。
また乾燥に強いコルクも有名です。
ブドウ・コルクといったら何を思い浮かべますか?
そう。ワインですよね!
ブドウが原料のワインは地中海付近で有名です。
そしてコルクをワインの蓋として活用したのも気候的条件から選ばれたということですね。
また地中海性気候では夏に乾燥する分、冬に降水をもたらします。
これにより、栽培されるのが小麦です。
地中海付近のヨーロッパってパスタだったり、パンが主食じゃないですか。
これも冬に栽培される小麦を活用した食事だったんですね。
パスタにワイン。
お腹が空いてきましたね。
長々と話してきましたがこれにて地中海性気候の解説は終了となります。
しっかりと原理原則を学ぶようにしてください。
では次の単元に参りましょう!
・地中海性気候は夏に乾燥する珍しい気候区分
・夏に乾燥するのは亜熱帯高圧帯の影響を強く受けるから
・乾燥に耐えうるブドウやコルクの生産が盛んである
・冬の降水を利用して(冬)小麦の栽培が盛んである
温暖冬季少雨気候(Cw)
次に解説していく気候は温暖冬季小雨気候、通称Cwについてです。
小文字のwは先ほど説明した通り、『冬(Winter)に乾燥する』の『w』でしたね!
先ほどの地中海性気候をしっかりと理解していればこの分野も問題ありません!
まずは温暖冬季少雨気候の分布を見てみましょう!
これを気圧の図に置き換えるとこうなります。
いかがでしょう。
北半球・南半球の両方とも夏は熱帯収束帯(低圧帯)の影響を受けやすく、冬は亜熱帯高圧帯の影響を受けやすいということがわかるかと思います。
低圧帯は上昇気流が発生しやすく、雨が降りやすいところ。
高圧帯は下降気流が発生しやすく、雨が降りにくいところ。
つまりこのエリアは夏は熱帯収束帯(低圧帯)の影響で雨が降りやすく、冬は亜熱帯高圧帯(高圧帯)の影響で雨が降りにくい(乾燥)という特徴が導き出せるのです。
この温暖冬季少雨気候は赤道に近いのに温帯なのがちょっと意外ですよね。
赤道に近いなら熱帯なのかなって感じる人も多いと思います。
熱帯にもサバナ気候(Aw)という冬季に乾燥する気候区分がありますしね。
赤道付近&冬季に乾燥するという共通の特徴を持つサバナ気候(Aw)と温暖冬季小雨気候(Cw)の違いはなんなんでしょうか。
それが気温です。
最寒月平均気温が18℃以上ないと熱帯と言えません。
つまり赤道付近でかつ冬季に乾燥する地域であっても最も寒い月の平均気温が18℃を下回っていたら熱帯(Aw)カウントされず温帯(Cw)カウントになるということです。
この気温差を生むのは緯度であったり、標高だったりと様々な要因があります。
(緯度が高いとこは気温が低く、標高が高いところも気温が低くなりますからね。)
サバナ気候(Aw)との違いをしっかりと覚えておきましょう!
・温暖冬季少雨気候は亜熱帯高圧帯の影響を受け、冬に乾燥する。
・サバナ気候(Aw)との違いは気温。最寒月の平均気温が18℃を下回れば温暖冬季少雨気候となる。
温暖湿潤気候(Cfa)
次は温暖湿潤気候です。
温暖湿潤気候はアルファベットで表記するとCfaです。
小文字の『f』は何を意味するんでしたっけ?
熱帯編でも学んだと思いますが、『full time(フルタイム)』の『f』でしたね。
つまりずっと(フルタイムで)雨が降っているという気候区分となります。
3文字目の『a』は何でしょうか?
これは『暑い(あつい)』の『a』だと覚えておきましょう。
つまり、温暖湿潤気候は比較的温暖でかつ雨が年中降っている気候であると言えますね。
温暖湿潤気候の分布をみていきましょう。
これを見るとある法則が見えてきませんか?
温暖湿潤気候のポイントは必ず大陸の東岸に分布するという点にあります。
なぜ大陸東岸は暖かく、年中降水量が多いのでしょうか?
そのヒントとなるのが東岸気候です。
東岸気候って何?と思う方や知識に自信がない方は以下の記事をご覧ください!
(記事を読んだ後はこちらの記事に戻ってきてくださいね!)
大陸東岸の特徴は以下の2つでした。
①年較差が大きい(夏は暑く、冬は寒い)
②夏に降水が多く、冬に乾燥する
①の年較差が大きいのは問題ないかと思うんですが、1つだけ温暖湿潤気候と矛盾しているものがありますよね。
それが②の内容です。
Cfaは年中降水が多い地域です。
ですが大陸東岸の気候の特徴は冬に乾燥する(降水量が少ない)ことです。
この謎を解明していくためには温帯低気圧について知る必要があります。
ざっくりと説明していきたいと思います。
温帯は極地点と赤道の中心に位置します。
そのため、温帯は北からは冷たい空気が、南からは暖かい空気が入ってくる地域と言うことができます。
寒いところから暖かいところへ空気の質量が動くことで風は発生します。
つまり極端に寒いところから極端に暑いところへ空気が移る際は空気が大量に動く、つまり風が強くなると言うことなんです。
以前、季節風の時にも解説しましたが基本的に風は高気圧帯と低気圧帯の差(気温差)が少ないところでは発生しづらく、高気圧と低気圧の差(気温差)が大きいところで発生しやすいです。
そのため、温帯は北の極端な冷気と南の暖気が混ざり合うエリアなので強力な風が吹きます。
この風により強力な上昇気流を発生させ、台風のような強い雨を伴う低圧帯を形成するのです。
これが温帯低気圧です。
この温帯低気圧は偏西風に乗っかって大陸の西から東へと流れてきます。
この台風のような温帯低気圧の影響で大陸東岸であっても冬に降水が多くなる地域があるというわけです。
覚えておきましょう!
・温暖湿潤気候は気温の年較差が大きい地域が多い
・温暖湿潤気候は大陸東部に分布する
・温暖湿潤気候は温帯低気圧の影響もあり、年中雨が降るところが多い
西岸海洋性気候(Cfb)
温帯の気候も残るは1つとなりました。
解説を読むのも疲れてきたことでしょう。
でも安心してください。
今までの内容をしっかりと覚えている人であれば、西岸海洋性気候で新しく覚えることはほとんどありません。
まずは西岸海洋性気候のアルファベット表記から確認していきましょう。
西岸海洋性気候はCfbと表記します。
Cは温帯を表す『C』でしたね。
2文字目のfはフルタイム(年中雨が降る)の『f』でした。
では3文字目の『b』は何か?
先ほど温暖湿潤気候(Cfa)の『a』は「暑い(あつい)」という意味でした。
今回の『b』は「寒い(さびぃ)」の『b』だと思ってください。
温暖湿潤気候と比べて気温が低いのが特徴です。
なぜ温暖湿潤気候と比較して寒いかは分布図を見ると明らかです。
それでは次は分布図をご覧ください。
この分布図を見て感づいて欲しいことは2点あります。
それが高緯度の地域である点と大陸西側に分布している点になります。
まず緯度に関してですが、先ほどの温暖湿潤気候と比較すると、緯度が高い場所に西岸海洋性気候が分布しているのがわかるかと思います。
これが先ほど言った「寒い(さびぃ)」の答えとなります。
単純に緯度が高いところにあるため、比較的気温が低くなる傾向にあるんですね。
そして次のポイントが大陸西側に分布しているという点です。
大陸東側に多く分布していた温暖湿潤気候とは正反対の特徴になります。
これに関しては西岸気候の内容を以下の記事でしっかりと読んでいただければ問題ないかと思います。
簡単に西岸気候の特徴をまとめると、「年較差の小さい穏やかな気候」であると言えます。
そのため、大陸西部に分布する西岸海洋性気候も年較差の小さい、穏やかな気候が特徴となっています。
・西岸海洋性気候は緯度が高い地域に分布しているため気温が低め
・西岸海洋性気候は大陸西部に分布し、年較差の小さい穏やかな気候となる
まとめ
温帯の内容を振り返ってみると、ここ最近に投稿した内容が大集結する結果となりました。
それくらい今までに投稿してきた内容が大事だということですね。
年度も読み返し、しっかりと温帯のメカニズムを理解しましょうね!
今日も最後まで記事を読んでくださりありがとうございます!
それではまた!
※2023年1月に自身初のKindle本『教師という天職』を執筆いたしました!
教員なりたての頃、さまざまなことに悩み、ハードワークを強いられていた私の考え方・取り組み方・働き方がどのように変わっていき今に至るのかをまとめています。
教員にとってもっと楽な生き方・働き方があるんじゃないかと思い、執筆に取り掛かりました。
現在、教員として悩みながら仕事をしている先生や、少しでも教員を目指そうと考えている学生に読んでもらえたらなと思います。
少しでも多くの方の役に立てば幸いです!
自己紹介 好奇心旺盛な社会科教師